百合日記

体験談なのか、創作なのか…想像におまかせ…

えんちゃんの告白…から始まった〜百合日記②〜

「私ね、ゆりちゃんが好き」
グラスを置いたえんちゃんが、うつむいてそう言った。
夏休みの帰省を取り止めた私の部屋で、食後にちょっとだけと飲み始めたカシスソーダのグラスの水滴をもてあそびながら。顔は上げない。
「えっと……」
『好き』…この場合、好きって。この雰囲気は。
えんちゃんは同じ学部の同級生。サークルも同じで仲は良いけど、うちに来たのは久しぶり。サークルで発行してる会誌の編集の件でうちに来た。編集の話はそこそこに、ごはんを食べて、軽く飲んで……そして、冒頭のセリフである。
「去年の夏ね、サークルのみんなでいっしょに飲んだときから」
去年?去年から?なんで?えんちゃんが『そう』だとは全然わからなかった。私はグルグルと考える。
それとも、『わかる』のだろうか。この1年半で、女友だちに好きと告白されたのは2人めである。
私は男の子と遊んだり付き合ったりしてる話をサークルでもしている。女のコとは…もう3年、そういうことはない。その頃のことは、友達にも話していない。でも、わかるのだろうか…と考える。
「ゆりちゃん、あの時すっごい酔っ払って、すっごい騒いで途中で寝ちゃって。1人で帰れそうになかったから、私が送って」
「ご、ごめん。あの時は」
去年の失敗を思い出して、恥ずかしくなる。いや、覚えてはいないんだけど。
「酔っ払って騒いでるとき、ゆりちゃん『えんちゃんえんちゃん』ってずっと言ってて。ノコちゃんにも浅見ちゃんにも『えんちゃん』って呼んでて」
えっ、ゴメン…
「それがかわいくて、キュンってなった」
えんちゃん、それはちょっと変わってるよ…
「おしゃれでかわいいし。ずっとゆりちゃん見てたい」
えんちゃんはうつむいてるけど、耳たぶまで赤くなってるのが見える。
「でも、ゆりちゃん彼氏いるよね。女のコとか興味ないよね。わかってるんだけど」
赤く染まったえんちゃんの耳たぶを見てると、少し興味が湧いてくる。優しくしてみたくなってしまう。
手を伸ばして、そっと耳たぶに触れてみた。えんちゃんは、びっくりして顔を上げる。
「ごめん、耳たぶ赤かったから…ちょっと触ってみたくなっちゃった」
「赤い?恥ずかしい…」
「うん。すごく赤いし……熱くなってるよ」
私は、その赤い耳たぶを指で挟んだ。えんちゃんはまたうつむいてしまった。グラスの横に置かれた手に触れてみる。手は冷たくなっている。
「手は、冷たいね」
うつむいていたえんちゃんが顔を上げる。目のまわりが赤い。少し酔ってるのかもしれない。
「ゆりちゃんが、もし女のコ気持ち悪くないなら、」
今度は目を逸らさずに言う。
「ゆりちゃんとちゅーしてみたい…」
「でも、えんちゃんは女のコが好きってわけじゃないんじゃないの?」
「わからない。男の人とも付き合ったことないし。でも、ゆりちゃん見てたらドキドキするし、ゆりちゃんとキスしてみたい」
はえんちゃんの隣に移動した。顔を覗き込むと、目を逸らす。ちゅーしてみたいと言ったのに。私は顔を近付けて、えんちゃんの唇にくちびるで触れた。
「私とキスしてみたかったの?」
えんちゃんは固まったみたいに動かない。
「もっとする?」
「…うん」
もう1度顔を近付けて、軽く触れる。2度、3度、ついばむようなキスをした。
                  
                続きます(・∀・)